今月読んだ本

今月(2017-06)に読んだ本は15冊でした。

新刊だと

みみずくは黄昏に飛びたつ

みみずくは黄昏に飛びたつ

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川上 未映子 村上 春樹
新潮社
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を読みました。村上春樹川上未映子の対談集。というか川上未映子村上春樹にひたすらインタビューする本。川上未映子がかなり突っ込んだ質問していて良かった!

以下引用

川上未映子ーこれはよくある読みのひとつですが、男性が無意識の世界の中で戦い、現実の世界で戦うのは女性に貼っています。例えば『ねじまき鳥』では、生命維持装置のプラグを抜いて現実のワタヤノボルを殺す、手を下して裁かれるのは久美子です。『1Q84』でも、リーダーを現実に殺すのは青豆なんですよね。もちろんすべての小説をフェミニズム的に読む必要はないし、小説は正しさの追求を目指すものではないけれど、でもあえてフェミニズム的に読むとしたら、「そうか、今回もまた女性が男性の自己実現のために、血を流して犠牲になるのか」というような感じでしょうか。

(『みみずくは黄昏に飛びたつ』新潮社(村上春樹 川上未映子 著)より)

これ聞いちゃう?という。

宇野常寛の言う「レイプファンタジー」問題。

以下引用

「ここで試みられているのは、春樹が『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』を経て洗練させてきた、セクシャルな回路を用いたナルシシズムの記述法である。欠落を、傷を抱えた女性が「僕」を無条件に求め、その要求に応えることで受動的なコミットメントが成就していくという回路を春樹はこれらの作品で積極的に用いている。これはより具体的には春樹が度々準拠枠として用いたチャンドラーなどのハードボイルド小説の手法の変奏と言える。この文脈に則せば、ハードボイルドとは社会の複雑化と価値の多様化を前に、男性がそのナルシシズムを確保するために内面に抱えるロマンを徹底して自己完結することで維持するという「態度」だと言える。春樹は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』以降の作品群でこの自己完結を、男性主体を無条件で肯定してくれる女性を登場させることでより強化した。ハードボイルドでは自己完結することで、すなわち誰にも「承認」を求めないことで維持されていたロマンティシズムが、春樹の小説においては「受動的なコミットメント」に縮退する。この縮退によって生じたナルシシズムの不足は、当然他者からの承認によって補われなければならないが、春樹はそこで予め欠落を抱え、男性主人公を求めるようにプログラミングされた「他者性なき他者」としての女性を登場させ、彼女たちからの積極的な承認を与えることで、「受動的なコミットメント」を維持したまま男性主体がナルシシズムを構築し得る回路を完成させたのだ。」

(『リトル・ピープルの時代 (幻冬舎文庫)』(宇野常寛 著)より)

これに対して、村上春樹はめちゃくちゃあっけない回答をしているんだけどね。

おすすめです。

あと、2017年上半期私的一番良かった本を。

いのちの車窓から

いのちの車窓から

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星野 源
KADOKAWA (2017-03-30)
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ネタとかではなく、マジで。

星野源が好きな人、曲はちょっと知っている人。サブカルサブカルしていてどうなんだ?と思っている人。なんで本書いたり演技したり曲作ったりしてんだよって思っている人。

全員読んだほうが良いです。星野源の才能を感じる1冊でした。

とにかく良かった。

Written on June 30, 2017